「今日の相場がどのゾーンで動くか、事前に把握できたら」
ピボットポイントはその答えに最も近いツールです。
ピボットポイント(Pivot Point)は、前日(または前週・前月)の高値・安値・終値から計算される
翌日のサポート・レジスタンス水準を事前に算出するインディケーターです。
チャートを開く前に計算できるため、機関投資家・証券会社のトレーディングデスクでは
朝のルーティンとして長年使われてきた手法です。
他のインディケーターと大きく異なる点は、リアルタイムの価格変動を使わずに計算されるという点です。
前日の終値が確定した時点で翌日のすべての水準が確定します。
つまり「今日の相場がどの価格帯で攻防になるか」をマーケットオープン前に把握できます。
世界中の機関投資家・アルゴリズムシステムが同じ計算式でピボットを算出しているため、
フィボナッチと同様のセルフフルフィリング効果が働きます。
特にデイトレーダーにとっては「1日の地図」として欠かせないツールです。
この記事で分かること
- ピボットポイントの計算方法とS1〜S3・R1〜R3の意味
- スタンダード・カマリラ・ウッデンの3種類の使い分け
- デイトレードでの時間別活用法(東京・ロンドン・NY時間)
- フィボナッチリトレースメントとのコンフルエンスで精度を上げる方法
- FXとCFDでのピボットポイント活用の違いと週次・月次ピボットの使い方
ピボットポイントとは何か|前日の価格から翌日のサポレジを事前計算する

ピボットポイントは前日の高値(H)・安値(L)・終値(C)の3つの価格から計算される価格帯系インディケーターです。
連載第①回の分類では価格帯系に属し、第⑫回のフィボナッチリトレースメントと同じカテゴリです。
フィボナッチが「波動の中での価格位置」を示すのに対し、
ピボットポイントは「前日の値動きから算出した絶対的な価格水準」を示します。
ピボットポイントを構成する水準
| 水準 | 略称 | 意味 |
|---|---|---|
| 第3レジスタンス | R3 | 強い上昇時の上限目安 |
| 第2レジスタンス | R2 | 上昇時の主要抵抗帯 |
| 第1レジスタンス | R1 | 最初の抵抗帯 |
| ピボットポイント | PP | 当日の方向性を決める中心線 |
| 第1サポート | S1 | 最初の支持帯 |
| 第2サポート | S2 | 下落時の主要支持帯 |
| 第3サポート | S3 | 強い下落時の下限目安 |
スタンダードピボットの計算方法|最も広く使われる基本式
計算式
| 水準 | 計算式 |
|---|---|
| PP | (H + L + C)÷ 3 |
| R1 | (2 × PP)− L |
| R2 | PP +(H − L) |
| R3 | H + 2 ×(PP − L) |
| S1 | (2 × PP)− H |
| S2 | PP −(H − L) |
| S3 | L − 2 ×(H − PP) |
計算例(USD/JPY)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 前日高値(H) | 150.80円 |
| 前日安値(L) | 149.60円 |
| 前日終値(C) | 150.20円 |
| PP | (150.80 + 149.60 + 150.20)÷ 3 = 150.20円 |
| R1 | (2 × 150.20)− 149.60 = 150.80円 |
| R2 | 150.20 +(150.80 − 149.60)= 151.40円 |
| S1 | (2 × 150.20)− 150.80 = 149.60円 |
| S2 | 150.20 −(150.80 − 149.60)= 149.00円 |
カマリラピボットとウッデンピボット|スタンダードとの使い分け
スタンダード以外に、実戦でよく使われる2種類のピボット計算方式があります。
カマリラピボット(Camarilla Pivot)

特徴
前日の値幅(H−L)に特定の係数を掛けて算出。
水準が前日終値付近に密集するため、短期のレンジ・反転トレードに最適化されています。
主要な計算式(H3・H4・L3・L4)
| 水準 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| H4 | C +(H − L)× 1.1 ÷ 2 | 強い上昇抵抗・ブレイクアウト水準 |
| H3 | C +(H − L)× 1.1 ÷ 4 | 逆張り売りゾーン |
| L3 | C −(H − L)× 1.1 ÷ 4 | 逆張り買いゾーン |
| L4 | C −(H − L)× 1.1 ÷ 2 | 強い下落サポート・ブレイクアウト水準 |
活用法
- H3・L3付近では逆張り(価格がゾーンに到達後反転を狙う)
- H4・L4を超えた場合はブレイクアウト(トレンドが加速する可能性が高い)
ウッディーズピボット(Woodie’s Pivot)

特徴
終値に2倍の重みをつけて計算するため、当日の市場参加者の心理(終値ベース)を重視した水準になります。
| 水準 | 計算式 |
|---|---|
| PP | (H + L + 2C)÷ 4 |
| R1 | (2 × PP)− L |
| R2 | PP +(H − L) |
| S1 | (2 × PP)− H |
| S2 | PP −(H − L) |
3種類のピボットの使い分け
| 種類 | 最適な使い方 | 向いているスタイル |
|---|---|---|
| スタンダード | 幅広い時間軸でのサポレジ確認 | デイトレード・スイングトレード |
| カマリラ | 短期の逆張り・ブレイクアウト確認 | スキャルピング・デイトレード |
| ウッデン | 終値重視の心理的サポレジ確認 | デイトレード |
ピボットポイントの実践的な読み方
PPを基準にした方向性の判断
| 価格とPPの関係 | 判断 | 戦略の基本方針 |
|---|---|---|
| 価格がPP上方 | 強気(上昇バイアス) | R1・R2を目標に買い目線 |
| 価格がPP下方 | 弱気(下落バイアス) | S1・S2を目標に売り目線 |
| 価格がPP付近 | 方向感不明 | ブレイク方向にエントリー |
各水準でのトレード戦略
| 水準 | 逆張り戦略 | ブレイクアウト戦略 |
|---|---|---|
| R1・S1 | 反転を確認して逆張り | R1上抜けでR2を目標に順張り |
| R2・S2 | 主要な反転ポイントとして利確・逆張り | R2上抜けでR3を目標に順張り |
| R3・S3 | 過熱気味・利確ゾーン | 強い上昇時のみブレイクを追いかける |
デイトレードでの時間別活用法
ピボットポイントはデイトレードの「1日の地図」として機能します。
FX市場の3大セッション(東京・ロンドン・ニューヨーク)ごとに動きのパターンがあります。
セッション別のピボット活用
| セッション | 時間(日本時間) | ピボット活用のポイント |
|---|---|---|
| 東京セッション | 9:00〜17:00 | レンジが多い。S1〜R1の範囲内での逆張りが機能しやすい |
| ロンドンセッション | 16:00〜24:00 | トレンドが発生しやすい。PP上抜け・下抜けでの順張りを重視 |
| NYセッション | 21:00〜翌6:00 | 最もボラティリティが高い。R2・S2のブレイクアウトに注意 |
| ロンドン・NY重複 | 21:00〜24:00 | 最大ボラティリティ。ブレイクアウト後の勢いが最も強い |
オープニングレンジとピボットの組み合わせ
東京セッション序盤(9:00〜10:00)の値動きの範囲(オープニングレンジ)がPP付近で形成された場合、
ロンドン・NYセッションでのブレイク方向に注目します。
フィボナッチリトレースメントとのコンフルエンス|精度を最大化する組み合わせ
第⑫回のフィボナッチリトレースメントとピボットポイントのコンフルエンスは、
価格帯系インディケーター同士の最強の組み合わせです。
コンフルエンスゾーンの探し方
- 前日の高値・安値・終値からピボット水準を計算(スタンダード)
- 上位足(日足・4時間足)でフィボナッチリトレースメントを引く
- フィボ水準(38.2%・50%・61.8%)とピボット水準(PP・S1・R1など)が近接するゾーンを特定
- そのゾーン付近での価格アクション(反発・ブレイク)を確認してエントリー
コンフルエンス信頼性表
| 組み合わせ | 信頼性 |
|---|---|
| フィボ61.8% + S1(またはR1) | ★★★★★ |
| フィボ50% + PP | ★★★★☆ |
| フィボ38.2% + R1(またはS1) | ★★★★☆ |
| フィボ61.8% + S2(またはR2) | ★★★★★ |
| カマリラH3・L3 + フィボ水準 | ★★★★☆ |
週次・月次ピボットの使い方
日次ピボット以外に、週次・月次のピボットも有効なサポレジ水準として機能します。
| 種類 | 計算基準 | 使い方 |
|---|---|---|
| 日次ピボット | 前日の高値・安値・終値 | デイトレードの1日の地図 |
| 週次ピボット | 先週の高値・安値・終値 | スイングトレードの週間サポレジ確認 |
| 月次ピボット | 先月の高値・安値・終値 | ポジショントレードの大局的なサポレジ確認 |
実践のコツ
日次・週次・月次のピボット水準が近接している場合、
複数時間軸のサポレジが重なる「スーパーコンフルエンスゾーン」として機能します。
このゾーンはフィボナッチや移動平均線との重なりと合わせて特に注目してください。
FXとCFDでのピボットポイント活用の違い
| 項目 | FX | CFD(株価指数・商品) |
|---|---|---|
| 計算基準の終値 | 前日の特定時刻(00:00 GMT等) | 市場の公式終値(取引所の終値) |
| 信頼性 | 高い(機関投資家が参照) | 株価指数CFDで特に高い |
| ギャップの影響 | 週明けのみ | ギャップでS1・R1を一気に超えるケースあり |
| カマリラの有効性 | スキャルピング・デイトレードで有効 | ボラが高いCFDでは水準の幅が広がる |
| 推奨活用スタイル | デイトレード・スイング全般 | 株価指数デイトレードで特に有効 |
Q&A(よくある質問)
- ピボットポイントはどのブローカー・ツールの終値を使って計算すればいいですか?
最も一般的なのはNY時間の終値(00:00 GMT)を基準とする日次ピボットです。
MT4/MT5・TradingViewなどのツールで自動計算されるピボットインジを使う場合、
設定値を確認し一般的な基準と統一することを推奨します。
- ピボットのどの水準を最も重視すべきですか?
PPとR1・S1が最も機能しやすい水準です。
特にデイトレードではPPの上下での方向性確認とR1・S1での反転・ブレイクアウト確認が基本です。
R2・S2以遠は強いトレンド発生時のみ意識します。
- ピボットポイントは毎日計算し直す必要がありますか?
日次ピボットは前日の値動きをもとに毎日更新されます。
ただし多くのチャートツールに自動計算インジが搭載されているため、
実際に手計算する必要はありません。週次・月次ピボットも同様に自動更新されます。
- フィボナッチとピボットが重なるゾーンが見つからない場合はどうすればいいですか?
近接している水準(5〜10pips以内)をコンフルエンスゾーンとして扱うか、
フィボナッチの時間軸を変えて(週次フィボナッチ×日次ピボットなど)探してみてください。
コンフルエンスが見つからない場合は無理にエントリーせず、他のエントリーポイントを探す方が得策です。
- CFDでピボットポイントを使う場合の注意点は?
ギャップ(窓開け)によってS1・R1を一気に超えて寄り付くケースがあります。
ギャップ発生後は次のピボット水準(S2・R2)を新たな目標として意識し直してください。
また計算基準となる終値がブローカーによって異なる場合があるため、
使用ツールの設定を必ず確認してください。
